遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

パドリング時に重心位置をテール側に変えたら波をとるのがびっくりするくらい楽になった

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これまでの状態

サーフィンを始めたのは20数年前。20代の頃は足しげく海に通い身体も鍛えてきました。調子よく波がとれる日はテイクオフのパドリングに力を感じ、なかなかうまく波がとれない日は漕いでも漕いでもスカスカな感じになるという感じです。特にグローブをつける時期になるとボロボロ。それで嫌になってスノーボードに行くというのが毎年のルーチンになってました。波に対するポジションもあるとは思いますが、自分がスカスカなパドリングになっているのに、数回のパドリングで同じ日の波を簡単に乗っていく人を見ると、根本的な何かが違うのではないかと思いはじめました。

 

本当に自分のパドリングもしくはテイクオフの動作が悪いのか

サーフィンでは思うように波がとれないので、2013年頃からSUPを始めました。そして、現在はSUPでならあまり苦労なく波がとれるようになりました。実際にいい波ならそんなに漕がなくても波をとれます。SUPでならかなり小さな波でも乗れます。SUPで普通に乗れる波なら、同じSUPの板を使って普通のサーフィンをしても理論的には同じような頻度で乗れるはずです。もし、それで波をとれないなら、パドリングやテイクオフの姿勢等何かが悪いことになります。SUPの板は幅が広いですが、パドリングはあまり気にせずできる程度なので、パドリングへの影響は殆どないと考えました。試してみると、刺さったり波に置いていかれたりと全然波をとれませんでした。普通にSUPをすれば、狙った波の90%くらいは乗れるのにです。やはり僕のパドリングかテイクオフの動きには何か問題があるとわかりました。

 

ボードは波に対してどのように動けばいいか

パドリングやテイクオフに関する記事をたくさん読みましたがどうも腑に落ちませんでした。というのも、スノーボードもそうでしたが、多くの記事は手をこう動かす、足をこうするといった具合に身体の動きを解説していて、肝心なサーフボードが波に対してどう動けばいいのかといった物理的な部分に対する解説は殆どありませんでした。身体の動作は、波に対して理想的な動きをサーフボードにさせるためのものであり、その理想的な動きのイメージがなければ、身体の動かし方の良し悪しは判断できません。判断基準のないまま真偽不明の情報を消化することになってしまいます。

 

そこでまずは、SUPで波をとったり、ボードを後ろから押して波に乗せてみたりして、板が波に対してどのように動いているのかを考えてみました。まずは、①ある程度のスピードで波のビーチ側にいる、次に②テールが持ち上がる、③テールが持ち上がる時にひと漕ぎ(押し)することで波に張りつきつつある板が走りだす。この3つが基本的な動きになっていると考えました。①はすぐに何かできることではなく、③は②が前提となるので、まずは②に注目してみました。

 

テールが効果的に波に持ち上げられるように

②は重心の位置がかなり関係すると考えました。例えば、極端にボードの前の方(ビーチ側)に重心があればテールが軽くなります。簡単にテールが持ち上がるようになるのでいいかなと思ったのですが、実はこの動きは、ゲティングアウト時に波を乗り超えていく際に少し後ろ重心(ビーチ側)にするのと同じで、波がボードの下を通っていきやすくなります。つまり、前重心(ビーチ側)にすると波においていかれやすくなるということになります。波のビーチ側にとどまりつつ、テールを効果的に持ち上げるにはどうすべきか。テール側(沖側)に重心があると、波がもり上がる力を押さえることになり、その反作用からテールが持ち上がる力を受けます。もちろん、極端なテール重心をすると波がテールを持ち上げる力以上に押さえ込んでしまうことになり、テールが持ち上がらなくなります。テールが持ち上がるために程よく力を受けれる重心位置を探す必要があると考えました。

 

さて、重心位置というとサーフィンを始める時に、「へそをボードの重心(おおよそ前後左右のセンター)に置け」と習いました。そう習った人も多いんじゃないかと思います。インターネットで検索するとそう書いてある記事が多かったので。僕もずっとそれを信じて実行してきました。今までの経験を振り返ると、掘れた波になるとノーズが刺さりやすく、ダルイ波だと漕いでも漕いでもスカスカな感じが多くなりました。これらのことから考えると、実はへそをボードの重心位置に置くというのは先に述べた「前重心」になってしまっているのではないかと考えました。テールを持ち上げられやすく(持ち上がる力の強い掘れた波はテールが過剰に持ち上がる)、波がボードの下を通り抜けやすい(ダルい波では漕いでも漕いでもスカスカ)という前重心の特徴がでていそうだからです。

 

そこで、思いきって「へそ」をテール側に動かし、どの重心位置がいいかをSUPの板で普通のサーフィンをして試してみました。SUPは持ち手がボードの中央にあるので試しやすかったです。いろいろ試していて、スノーボードでも「みぞおち」がポイントだったので、なんとなく「みぞおち」がボードの中心にくるようにしてみました。ここでいう「みぞおち」は、下記の記事で記載している左右の肋骨がつながる場所の中で一番下の部分です。

fq12345.hatenablog.com

 

すると、まず変わったのはテールが持ち上がる感じを得やすくなったこと、テイクオフのパドリングに力が入りやすかったことでした。ここで、上記の③を行うために、テールが持ち上がる感じを得たら、両手同時にパドリングをして最後の一漕ぎをいれるようにしました。そうすると先ほどまで置いていかれていた波も簡単にとることができるようになりました。その後は狙った波は殆ど乗れるようになりました(感覚では成功率90%くらい。改善前は40%くらい)。普通にSUPをするのとあまり変わらない感じでした。

 

みぞおちをボードの重心(前後左右のセンター)にもってくるのは何がよかったのか

自分の感覚で良かったです。みんなにおススメ!というのは簡単ですが、しっかり何が変わったかを説明できなければ経験の押しつけになってしまいます。もしかしたら他の人は違うことになるかもしれません。

 

そこで何がよくなったのかを考察してみます。まずは「テイクオフのパドリングに力が入りやすくなったこと」です。

 

テイクオフ時はテールが持ち上げられます。みぞおちがボードの重心(前後左右のセンター)にある(今後みぞおち重心と呼びます)のは、テールが持ち上げられてきた時にバランスをとりやすいのだと思いました。斜面に腹ばいになるのを想像してみてください(例えば滑り台を頭を下にして滑る場合)。斜面が急になるにつれて斜面下側に力がかかるようになります。その時、頭からつんのめらないように、おそらく無意識に、頭をあげて胸の下(みぞおち重心)でバランスをとるのではないかと思います。これは斜度が大きくなればなるほど顕著に表れるはずです。是非、ウォータースライダを頭を下にして滑ってみてください。また、パドリング時は肩や腕が動いています。みぞおちはへそよりも動作してる部位に近く、みぞおちあたりは先の斜度効果で力がかかりやすいので、動作している場所をその近くで支えることが容易になります。

 

みぞおち重心は、斜度に対応するためのバランスのとれた姿勢になると同時に、パドリング動作をするための十分な支えが得られる姿勢であると言えます。この2点が「テイクオフのパドリングに力が入りやすくなった」という感覚につながったのでしょう。斜度の変化がある中でも安定したパドリングができるというのは、①でスピードを得ることにも貢献します。安定した姿勢でテールが持ち上がるための力を得つつ、スピードも落ちない。また、両手パドルで最後の一漕ぎをすることで斜面の滑りだしのタイミングを早くできるようになったことから、波をとるのが簡単になったということでしょう。

 

今後の検討事項

今回の検討でみぞおち重心が波をとりやすくするのに効果的であるということがわかりました。しかし、実は自分のSUPのボードに良い位置であっただけかもしれません。わかった問題点は「へそをボードの重心に置くのは実は前重心」であったということです。改善策は重心をテール側にさげることでした。特にみぞおち重心は答えとなりうる可能性が高いということが示されました。今後の検討事項は、サーフィンで使うボードで、この位置でいいのかという点です。おそらく微調整が必要と思いますが、まずはボードの真ん中等に目安の線をいれて確認していこうと思います。また、結果はご報告します!

 

注意

みぞおち重心で波がとれるようになったので、試行錯誤しながら波を乗りまくりました。この時は波が小さく誰もいない海でしたのこんな練習をしました。波が小さな誰もいない場所でできる練習ですので、周りにサーファーが多い時は是非、人のいない場所で行ってください。