遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

波がわかれば、テイクオフは簡単だということがわかった。

これまでテイクオフは、「調子が良ければ」たくさんできる、悪ければ全然という感じで、どうもギャンブルのような気持ち悪さががありました。

 

今回、これの答えがある程度整理できたので、まとめてみようと思います。

結論は、波から推進力を得るための場所と方法があったということです。

今日はSUPでしたが、狙った波はほぼ全部乗れました。ガムシャラに漕ぐこともなく数コギで簡単に乗れました。

 

波はいつサーファーを押してくれるのか

昨年から波について調べ始めました。海底が浅くなり摩擦によって波のボトム側の水のスピードが遅くなる。また、浅くなったことで行き場をなくした水が上に持ち上げられる。波のトップ側の水は減速しないので、ボトム側の遅い水を乗り上げていく。この時に、ホールドできなくなった波が崩れるということがわかりました。

 

波は、エネルギーの伝播ですのでブレイク前のうねりには、サーファーを押す力はありません。ブレイクする寸前からその後にしか発生しません。そのため、テイクオフについてはブレイク寸前の波の状態や力がポイントとなります。

 

では、この「ブレイク寸前」とはいつで、どのような状態なのか

波のトップに白波が立ち始めるころか。トップの水が落下する瞬間か。非常に短い時間ですが、ここが明確になることで、自分の位置関係からどの波を狙えばいいのかがわかるようになります。

 

これまで、自分は波のトップや全体を漫然と見て判断していましたが、これでは、的確な判断ができません。そこで、乗れそうと感じる波をじっくり観察してみました。そうするとあることに気づきました。

 

波はブレイクする前に色が濃くなる。

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これは、もちろん、水質や太陽の角度等の光加減によりますが、確かにブレイクが近くなるにしたがって黒っぽくなっていました。理由は確認できていないですが、おそらく、ボトム側からRが発達していく際に光の反射方向が変わるためではないかと思います。実際に、ボトム側からRが発達している時であるのは確かでした。そこで、これを指標にして、波とサーファーの関係を観察してみると、乗れる(波がサーファーを押す)のは、波の色が濃くなり、ボトムにRが発達した時であることがわかりました。

 

言い換えると、これは波が三角定規のように真っすぐ傾斜がある状態では乗れないということです。波のつくる三角形の傾きや大きさではなく、Rとして発達することが乗れる波かどうかの決めてであるといえます。

 

サーファーは何をすべきか

波のボトムにRが発達した場所に移動することが必要不可欠です。テイクオフのアクションやパドリングについての解説は多いですが、それはメインではないと思います。

 

波のボトムにRが発達した場所がわかり、そこに移動できるようになるとテイクオフの確率はかなり上がると思います。実際、これが分かってからは、以前の10倍くらい波に乗れるようになりました(もともとが少なかったのですが)。波に対して、サーファーがやるべきこと、やってはいけないことが分かるとさらに簡単にテイクオフができるようになりました。

 

Rが発達するボトムでは水が勢いよく上昇します。様々なテイクオフ動画を見てみると、この時にサーファーは波の高さの3分の2くらいまで持ち上げられます。テイクオフが速い人はこの高さあたりで滑り出します。遅い人はここからさらに持ち上げられて崩れかけのトップで滑り出すか落とされます。

 

波の高さの2/3くらいで滑りだす人と持ち上げられてしまう人の違いはなにか。

サーフボードが滑り出すのは、前述のとおり波の傾斜によってではありません。上昇する水面をテールで抑えることによって、行き場を失ったエネルギーが岸側にリリースされるためです。下から吹き出す水を板で上から強引に押さえることを想像してください。ど真ん中で押えることができていない限り、抑えが弱い方に板が飛ばされると思います。これはハーフパイプなどでのパンピングと同じ原理です。この力を上手く使うことでうねりからテイクオフができる。そうでなければ水が岸側に進む、つまりブレイクした直前か後にしか滑りださなくなります。後者は間違いなくレイトで立つのも大変です。

 

テールで波の上昇を抑えることが、テイクオフを早めてくれますが、この時もちろん、Rの発達した波の前側にいないと意味がありません。パドリングは、波の前にでるために必要です。もし、最初からRの発達した波の前側でテールで上昇する波を押さえることができるポジションにいれば、数回のパドリングで乗れるでしょう。これは、差し乗りのポジションやアクションに通じます。

 

テイクオフ前に、プッシュアップして!顔をあげて!進行方向をしっかりみて!と言われますが、この姿勢をとることで重心がテール側に移動しますので、テールで波の上昇をおさえることができます。

 

テールで上昇する波をおさえる時に、ノーズは下げる動きは逆効果です。テイクオフ時、上手な人はボードが水平になって滑り出し、ボトムに滑りだしていきます。これは推進力を得るために効果的というだけでなく、スタンドアップが容易になるという効果もあります。ボードが斜めになり、落下するような状態でのスタンドアップすることは困難です。しかし、水平なボードの上ではどうでしょうか。おそらく、レールを握る必要もなくリラックスして簡単に立てると思います。

 

スタンドアップの時に頭を下げるなと言われることもあります。これは重心が前に移動するためにテールの抑えが小さくなり、波にテールが持ち上げられてしまうことでボードが不安定になってしまう可能性が高くなることを防ぐと同時に、推進力を失わないために重要です。一方で、テイクオフ時に、アゴをボードにつけてパドルするという人もいます。これは、波においていかれそうで、ノーズが浮き上がりつつある時には有効な動作と思いますが、そうでなければテイクオフを遅らせてしまうことにつながると思います。

 

まとめ

テイクオフ時はRの発達している波の前にでること、テールで上昇する波を抑えて推進力を得ることが重要です。これを行うことで、ウネリから乗れる可能性が高くなります。トップに白波が立っている波は、Rも十分に発達しており、さらにトップの速い水がボトムの遅い水を追い越していくことによる推進力も使えます。掘れてパーリングが怖いかもしれませんが、テールで上昇する波をしっかり押さえることができると、ブレイクの前に推進力を得て滑りだしますので、意外とレイトにならずに乗れます。また、テールを十分におさえることができていれば、水平なボードの上で立ち上がることになりますので簡単にスタンドアップできます。

 

おそらく、「調子がいい時」は、波のサイズやスピード、自分の位置が偶然にも上記の条件を満たすことが多い時だったのだろうと思います。上記に注意すると、「調子がいい時」が頻発している感じがします。冒頭にも書きましたが、実際、今までの10倍くらいテイクオフができるようになりました。テイクオフ動作は長年の悪癖があるので失敗もありますが、波がとれる楽しさをたくさん感じれるようになりました。

 

サーフィンは、波と自分の動作の関係のうえになりたっています。身体の動きや筋肉の仕組みだけでは、最も大事な波の力を使えなくなります。是非、みなさんにも、波のボトムのRの発達を指標に乗れる波の基準を明確にしてもらえればと思います。

 

今回、文章で書きましたが、図等を後日追加していきたいと思います。