遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

スノーボード:ターンでボードを踏むってどういうこと?足を伸ばすか腰高で。

春の雪は、シャバシャバだったり、カチカチだったり、ベトベトだったり、ガリガリだったり、ハイシーズンのようにスムーズに滑るのが難しいです。

 

毎年のように撃沈しているのですが、今年もハイシーズンにつかんだ気がしていたカービングが、春雪で、またわからなくなってしまいました(スノーボード:よくわからなくなった。 - Go with the flow)。基本姿勢を確認したり(スノーボード:スノーボードは横向き。アラインメントをチェック。滑りが劇的に楽になった! - Go with the flow)、切り替え時の重心を確認したり(スノーボード:切り替え時、前足重心 - Go with the flow)といくつか試行したのですが、これだ!という解決策は見つかっていませんでした。

 

「春雪、カービング」とか「Spring snow carving」のように、春雪に特化した滑り方のポイントがあるかと検索してみましたが、枝葉の部分を論じているだけのような記事やビデオが多いように感じました。

 

しかし、その中で偶然にも、一本の興味深いビデオを発見しました。春雪に特化したものではないのですが、今シーズンいろいろ考えてきたパーツに横串を刺し、連動させることのできる部分と感じました。

 

スノーボードやスキーのターンの室内練習マシンのビデオなのですが、

どうやってスノーボードを踏むかが良くわかるものでした。

 

このビデオのいいところは、左右の反復運動としてスノーボードの踏み方が見えるので、傾斜や進行方向の変化を考慮する必要がなく、動きをシンプルに理解できることです。実際に、このマシンがあったら、やってみたい!と思いました。たぶん、2時間くらいのトレーニングであっても、滑りが劇的に変わりそうに思います。

 


4.0-4.3 AASI Snowboard Instructor Guide. Edge change with flexion. Power training. Developing speed.

 

まずは、しっかりビデオを見て頂きたいのですが、2種類の踏み方がでてきます。1つ目は遠心力と体重を使った踏み方、2つ目はヒザや足首を伸ばす踏み方です。前者は立ち上がり抜重、後者は抱え込み抜重と言って良いように思います。

 

これら2つの踏み方は、本質的に同じと思います。ヒザや足首を伸ばす踏み方の方が姿勢を保ちやすいので急斜面や荒れた斜面で使いやすい。一方で、遠心力と体重を使った踏み方は、遠心力を活用するので楽に滑ることができると思います。これは、初心者の時に最初に教えられた滑り方ですが、今回このビデオを見て、自分がたくさん誤解し正しいイメージが明確に持てないまま、ハマってしまったと気づきました。

 

そこで、今回は、遠心力と体重を使った踏み方を自分の誤解していた点を踏まえて見ていきたいと思います。下の画像のピンクのラインは、動画から頭、上体、モモ、ヒザ下のラインをトレースしたものです。

 

まず、全体的な印象です。ヒザの曲がり具合が大きくは変わっていないことがわかります。中心つまりターンの切り替え部分で、頭の高さが最も高くなっています。これはヒザから下の高さが大きく変わらないまま、特に下半身の傾きがなくなったことによります。決して、ターンのピークでヒザをたくさん曲げていたり、切り替えで伸ばしたりしていません。ヒザは基本姿勢程度に曲げたら、エッジの動きを邪魔しないように、緊張を保って動きにくくロックしています。ただし、ターンのピークにあたる振幅最大の場所では、エッジを立てて運動の方向を変えるために、トゥサイドでは、モモをたてたままヒザが雪面方向に落として、つま先をターン外側に押し出し、最大のエッジングを得ています。ヒールサイドは、ピークでヒザを若干伸ばすことで、ハイバックを使っての最大のエッジングを得ています

 

fq12345.hatenablog.com

 

これは、スキーの雑誌等で「腰高」(腰から下の高さは基本的に変わらないが、下半身の傾きによって上体が雪面に近づく)と表現されているものだと思います。

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トゥサイドターン(モモは斜面に垂直に近く、ヒザ下と状態がボードと一緒に傾いている)

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ニュートラル(このヒザの曲げ具合は大きく変わらない)

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ヒールサイドターン(ピークでヒザを若干伸ばしてエッジングしている)

出典:https://www.youtube.com/watch?v=M_PpRxXaeBEに、筆者が身体の軸を追記

 

アンギュレーションについては、ターンピークである振幅最大地点の上体を見てください。トゥサイドもヒールサイドもボードの傾いた角度と同程度に傾いています。一方で、それ以上は傾いていません。頭が若干、ターン外側に傾いています頭や上体が過度(ボードの角度を超えすぎない)にアンギュレーションをとっていないことがわかります。頭や上体の角度がボードの角度と同調した状態は、それらの重さが、遠心力として最もボードに伝わる状態です。その量は、スピードや斜度にもよります。

 

以前も記載しましたが、アンギュレーションは足元でエッジングをしていくと、それに合わせて遠心力が強まるため自然と発生する動きだと思います。このビデオを見てから滑ってみて上体を腰で立てる必要はないと確信しましたが、首を立てる意識(フォールライン方向を見て斜面に平行)にするような動きは、バランスを崩さないように、ライダー側がコントロールできる部分と思いました。

fq12345.hatenablog.com

 

画像では分かりにくい部分ですが、この動きを試してみると、特に、ヒールサイドでヒザが曲がってしまう(せっかくの遠心力を吸収してしまう)ことが多かったです。

 

そのため、ニュートラルのポジションを基準に、ヒザの角度が変わらないように、足首、ヒザ、股関節あたりをロックする必要がありました。

 

ヒールサイドは、柔らかすぎるサスペンションとなっていたように思います。ある程度サスペンションを硬くしないとエッジングの力を失ってしまうという感じでした。足首もある程度ロックする必要がありました。足首に緊張がないと足首がブレてしまって、一貫したエッジングができず、ガツガツガツとなってしまいました。

 

トゥサイドは、モモを雪面に近づけるようなヒザの曲げ方ではなく、ヒザが曲がってしまうことが多かったです。こうなると、バランスがとりにくく内倒しやすくなり、結果的に重さをボードに伝えることができなかったです(吸収してしまった)。これについては、首を立てること、ヒールサイドの山回りでスピードを落としすぎないこと(ビデオの横にスライドする力を得るため)が重要でした。斜面が荒れていると怖かったですが、スピードがあれば楽になる感じです。

 

エッジングはあくまで段階的に進める必要があると思いました。ピークだけ考えて、ピークで一エッジを立てようとすると、踏むではなくて立てるだけになり、足場を得ることができなかったです。あくまで体重による遠心力をボードのエッジにかけ続ける。ターンのピークは、雪から得た力と、体重による遠心力が釣り合った場所ですので、一気につり合いのポイントをつくるのではなく、段階的につり合いのポイントに到達するという意識が重要なのではないかと思いました。

 

このエッジングは、荒れた斜面や硬い斜面、柔らかすぎる斜面で効果がありました。試行は、ガタガタ、ベトベト、ガリガリのスキー場で行いましたが、非常に安定して滑ることができました。もちろん、完全なカービングではありませんが、確かなエッジングが気持ちよかったです。

 

エッジングの練習としては、トゥサイドで横滑りのまま下っていく。ヒールサイドで登っていくようにすると感覚を得られやすかったです。

 

しばらく、踏むことに集中してモノにしてこようと思います!とうとう、見えてきた気がします!