遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

Day5 身体は横向き、顔前向き、ターンではボードを傾けない

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今日はスノーボードを始めて3年目の方と一緒に滑ってきました。グラトリをしたいとスノーボードを始めた方で、今日はグラトリの世界の楽しさを教えてもらったので、お返しにカービングターンのチェックをしました。そこで確認した内容を今回書こうと思います。姿勢とターンの始め方です。

1.やっぱりスノーボードは横乗り

アルペンボードさながらのスタンス角度で身体全体で前を向きながら滑る人も多くなってきました。昨年読んだ雑誌でも身体を前に向けて後足に腰をのせてーーっと書いてあるものがありました。Youtubeでもカービング系の動画でもそのような滑り方をおススメしているものがありました。確かに、前を向けるのはスキーのように進行方向に対して安定感が生まれると思います。

 

しかし、柔軟性が低い自分には、はっきり言って無理な姿勢です。後足の膝が壊れます。それをするなら本当にアルペンボードみたいなビンディング角度にしないといけません。一方で、カナダのインストラクター協会のチュートリアルビデオでは「横に乗りましょう!」と言っています。自分にはこちらの方が身体に自然でしっくりきますが、横に乗りながら、どうやって進行方向への安定感を得るのだろうかという疑問がありました。

横に乗りながら進行方向に安定感を得るには

スノーボードはノーズ方向に進むので、進行方向をしっかり両目で見ることは進行方向の安定感を得るのに重要です。一方で、ビンディングの角度に素直に立つことはターンでボードをたわませるために踏み込むために必要不可欠です。ビンディングの角度を前に向けすぎずに、これらを両立させるにはビンディング角度程度に胸を進行方向に開き、アゴを前の肩に乗せるように首を進行方向に回して身体は横向き、顔は前向きになる姿勢をつくります。この時に、例えばレギュラーだったら、左目が右目より前にでてしまうような中途半端にならないように、ノーズから左目と右目への距離が同じ(二等辺三角形)になるようにしましょう。身体が横向きになっているか(後ろ方が前にでてきていないか)を必ずチェックしてみてください。

 

なーんだそれだけかと思った人は多いと思います。しかし、是非ライディング中に二等辺三角形になっているか思い出してください。おそらく斜め前(トゥサイド側)に顔が向いていることが多いはずです。

 

これは、車の運転でいうなら常に斜め前を見ながら運転しているような状態です。怖いですね。前方に何かでてきたら事故になりますね。

 

実はこの状態は、特にトゥサイドの内倒とヒールサイドのズレにつながりやすいです。進行方向を向かずに回転しようとすると、特にバーンが荒れている時や斜度が急な時に恐怖心が生まれます。そうすると何とか早く回転をしたいので、身体を谷側に倒してなんとかボードを倒して回転しようとするわけです。しかし、後述しますがこの動きでは回転できませんので、もっと身体を倒そうとします。結果、トゥサイドでは腰、特に頭がお辞儀するようになり内倒します。ヒールサイドでは傾けた状態からは荷重が十分にできませんので、エッジのかかりが悪くなりエッジが使えないため捻じりをつかってボードを早く回転させようとします。そしてズレます。

 

まずは、身体は横向き、顔は進行方向向きを徹底して、ノーズと両目が二等辺三角形になるようにするのがスタート地点です。くどいようですが、後ろの手が前にでてきているのは身体が前向きになっている証拠ですので、そうならないように意識してください。

 

2.ターンの始動はボードを傾けるのではなく、踏んだ結果ボードが傾く

ボードを傾けるとターンするのはそうなのですが、それはターンが起こるだけで、コントロールできるターンにはなりません。エッジグリップは重力と遠心力によって生まれます。エッジの切り替え時は、遠心力が少なくなりますので、重力を最大限に使うことでエッジをグリップさせていけます。

 

しかし、ターンの切り替えでボードを傾けようとする多くの場合に頭が倒れます。頭は非常に重いパーツなので、これが傾いてボードの上から外れてしまうと、エッジにかけれる力が少なくなり、さらに不安定になります。ターンの切り替えでボードを傾ける動作は、安定したエッジングをし難くする動きなのです。

 

ではどうやってターンを開始するのか。

 

実はターンは板がたわむことで始まりますエッジ部分を踏み込んでキャンバーで浮いている部分を雪面に着ければ摩擦が強くなるのでターンが始まるのです。素早く力強いターンを行うには、頭の重さも含めて身体全体の重さをエッジに乗せるのが大事です。

 

そのために、まずは重力方向(平面に対して垂直、斜面に対してではない)を意識して、重力を最大限に使用できるように身体を重力方向にそって上下動させます。ターンの後半では重力方向に立ち上がって次のエッジング方向に、少し鳩尾(みぞおち、左右の肋骨がつながる一番下の部分)を次のエッジ側に移動させます。ターンの始動ではそのまま重力方向に真っすぐエッジを踏み込みます。この時に身体は倒しません。踏み込んでいくと身体は必要に応じて倒れますが、倒れるのは下半身だけです。上半身、特に頭は1.の姿勢をできるだけ崩さないようにしておきましょう。

 

遠心力が強くなってくると頭や身体を倒しても安定します。遠心力がしっかり得られるようになってから、グラトリやラントリ等いろいろな楽しい滑りに進むといいと思います。重力や遠心力が使えると、飛びやすいですし回転させやすいですし、力に他よならなくてもよくなります。

 

今日の方は、頭や身体を傾けてターンをしていました。そのため、緩斜面は傾けてもまだ重力が得られるのでグラトリやラントリができていたのですが、斜度があがればあがるほど、傾けた時に重力が少なくなりやすくなりますので、グラトリやラントリの精度が落ちていました。

 

ボードは傾けてターンするものというのは多くの方が思っていることと思います。しかし、それが実はターンができない悪循環の始まりです。ターンは踏み込んで行うです。