遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

スノーボード:トゥサイドターンで「踏む」ためにはカカトでボードを立てる。

「トゥサイドはエッジを立てやすく、ヒールサイドはスライドしやすい」

 

これは、足首やヒザ、股関節、腰等の下半身の関節の曲がる量の違いによるもので、スノーボード特有のことです。

 

じゃあ、トゥサイドは簡単なんでしょ?と言いたくなるのですが、トゥサイドはかなり難しいです。20年くらい前の雑誌だったと思いますが、ニセコのライダーの記事で、「本当にトゥサイドをマスターするのは難しい」という件がありました。トゥサイドターンで、暴走したり、抑えが効かなかったり、捻挫したり、これだと思えるターンができなくて、この言葉が忘れれなくなりました。

 

今シーズンは、ハイシーズンにかなり滑りが良くなって、これはトゥサイドもマスターしたか!と喜んだのも束の間。春雪でコテンパンにやられてしまいました。また、件の言葉を思い出す次第。

 

雑誌も読みました。ビデオも見ました。Youtubeも見ました。でも、どうしても、わからなかったのは姿勢です。どんな姿勢がベストなのかということがわかりませんでした。

 

内倒しないように、アンギュレーションをとりたい。最初、弓なりの姿勢をイメージしていました。しかし、いろいろな写真をじっくりみると、弓なりになっていないものが多かったのです。頭も含めて結構倒れこんでいる。真似して、みると内倒しました。グラグラになりました。そこで、下記のように姿勢を徹底的に分析してみました。そうすると、モモが重力方向に立っているのが姿勢維持のポイントということがわかりました。

 

fq12345.hatenablog.com

 

そこで、モモを立てることを意識して滑ってみた

これは、普通から硬いバーンでは非常に効果的でした。おそらく基本的な姿勢としては間違っていない。そう思いました。しかし、気温が上がりザクザクの雪で、モモを立てて滑ると、途端にボードが雪の中に沈んでいくことが多くなりました。要は、エッジに頼りすぎた滑りになっており、斜面に垂直な方向への圧が強くなる滑りになっているんだろうと思いました。

 

厄介なことに、これによって前足に乗れないという問題が発生しました。

 

ザクザクの雪で何とか埋まらないようにすると、自然と後足に乗るようになってしまうのですが、そうすると、前足に乗れずボードを回しきれなくなりました。「前足に乗って回転をコントロールしつつ、ボードが埋まらない方法」。この相反することを両立させる手立てが見えず、トゥサイドターンは、常に不安を感じるようになりました

 

これは急斜面よりも中緩斜面で悪影響を及ぼしました。前述の不安から、前足に乗りきれず、後足でのコントロールが多くなりました。そのため、舵がとれず、どうしても直線的なラインになる。何とか深いターンをしようと、後足で踏み込んだりしていたのですが、その際に、バーンが悪いと後足の足首に衝撃を受けてしまい捻挫をしてしまいました。捻挫は、さらに、気持ちを後ろ向きにしてしまい、悪循環に。

 

ある程度の斜度があれば、斜度によって重力は分解されて小さくなるので、前足に思いっきり乗り込んでも刺さることは少ないです。そのような斜面では、頑張って前に乗り込んでみたのですが、前足の乗っても荷重ができていない感じが常にありました。

 

その後のいろいろな試行錯誤から、原因は「母指球への荷重とそのプロセス」であることが分かりました。母指球に荷重するために、ボードのセンター方向にヒザを捻じって力を加えていたことが間違いだったと考えています。考えてみると当たり前のことですが、このように荷重すると、ビンディングに対して斜めに力をかけることになり、折角、ボードを立てるためにかけた力が、分解されて弱くなります。結果として、ボードが立つのは遅くなります

 

最も効率的に力をかけることのできる方法は、ビンディングの角度、つまり、つま先の真ん中に向けて、真っすぐ力をかけていくことです。僕は、前足24度なのですが、母指球を目指して荷重をするとどうしてもヒザが内側に入りました。このように、前振りが強い人は、この問題が起きやすいと思います。母指球ではなく、つま先の先端に向けて、ヒザを曲げて荷重していくことで、前足での荷重を感じることができ、非常に滑りやすくなりました。

 

このことは、下記のビデオで紹介されている、「前の手を架空のレバーを倒すように動かす」というエクササイズを試してみた時に分かりました。レバーを倒す動きをやってみると初中級者の方だと、滑りが劇的に良くなると思いますよ


Snowboarding Tips - Improve Your Turns Using This ESSENTIAL TECHNIQUE

 

 さて、最初の問題に戻ります。「モモを立てても、雪が柔らかいとエッジが埋まっていく」という問題です。これについては、ザビエ・デレリューさんのトゥサイドターンのビデオの下記のシーンがヒントになりました。要は沈み込む代わりに立ち上がってないか?ということです。

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トゥサイドの良くある問題点。https://www.youtube.com/watch?v=1sDubHOQibw


 リンクはこちら(https://www.youtube.com/watch?v=1sDubHOQibw)です。途中でWookey-Wookeyと言っているところは、立ち上がってしまう動きになり、矛盾しているように思いますが。でも、流れるような力強いターンは必見です。

 

さて、自分の滑りですが、立ち上がってないと思っていましたが、踏み込んでいるかと言われると踏み込んでいる気がしない。そう考えると、モモを立てる動きやターン後半での立ち上がりを意識しすぎるあまり、実は低い位置から立ち上がる動き(デレリューさんのビデオで、良くないと言われている動き)になっているのかもと思いました。

 

これは偶然の発見でしたが、前足に乗れないという問題を考えている時に、もっと効率よくボードを立てる動きがあると気づきました。それは、今までブーツのタンをつぶすように力をかけて、ボードを立たせていたのですが、カカトを上げる動きをすれば、アンクルストラップに直接力を加えることができ、簡単にボードを立たせることができるということです。

 

実際に何度かやってみると、嘘のように簡単にエッジが立つようになりました。自分のタイミングでエッジを自在に立てれると思い、安心感がでてきました。そこで、立ち上がり抜重でエッジを切り替える際に、カカトでエッジを立ててから、沈み込んでみました。そうすると、足場が瞬時にできていく感じがして、バンクを滑走しているかのような新たな感じになりました。何度も試してみましたが、間違いなく、この方法でボードを踏んでターンができる感覚が得られました。

 

結果、ザクザク、ボコボコだろうが、自分で足場がつくれるので、悪条件を全く気にする必要がなくなりました。

 

ポイントはカカトでエッジを立てるというところでした。

 

つま先で踏み込んでエッジを立てようとすると、トゥエッジの上ではなく、ボードの外に重心が移動しやすいのだと思います。重心がボードから遠くなると、上体を反って真下に荷重することしかできなくなります。その結果、バーンが硬いといいのですが、柔らかいとエッジが雪面に潜ってしまうということになります。一方で、カカトでエッジを立てると、背中側で力を使っているので、重心がボードの外にでにくくなります。また、カカトで持ち上げたものを、また戻す(踏み込む)ことは簡単です。さらに、カカトでエッジを立てた瞬間から、角付けによってターンが始まっているので、遠心力が発生しています。そのため、戻す動きは、ボードのエッジングを緩める動きにはならず、むしろ踏み込むことになります。 

 

この時、前足でしっかり踏み込めると、角付けから自分の滑走のためのバンクが自然にできます(カービングターンの原理です)。

 

これができた時、下記の動画(https://www.youtube.com/watch?v=XlYdBLZvaW0)を思い出しました。

 

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https://www.youtube.com/watch?v=XlYdBLZvaW0

実はこの動画を最初に、見たときは混乱しました。アンギュレーションはどこ?こんなに頭がターン内側に倒れてていいの?って。でも、上記の方法で、踏み込むと、このようになるんです。もちろん、モモも立ってます。踏み込みながら軸を倒していくと、前足で踏める、モモが立ってアンギュレーションは自然と起こります。そして、何より、重力下方向への過剰な荷重がなくなるので、エッジが全く埋まりません。

 

身体を反るのは、踏み込んだ後に、山回りで板を走らせたいなら良いと思いますが、最初はあまり必要がないように思います。むしろ、動画のように、軸が倒れっぱなしでターンしている方が、基本に忠実でしょう

 

かなり、ながく記載しましたが、最後にトゥサイドターンのポイントを整理しておきます。

 

  1. ヒールサイドターンで、過剰に捻じりすぎない(これは後日、ヒールサイドターンの解説で説明します)
  2. エッジをたてるのはカカトで立てる。カカトを上げてエッジを立てると、沈み込める姿勢になると思います。
  3. エッジがたったら、前足を中心に沈み込む
  4. 沈み込みに併せて、軸が倒れると思いますが、軸は気にせず踏み込みだけを意識する。
  5. 前足重心を確認していれば、山回りで軸が起きてくると思いますので、ヒールサイドターンの準備をする