遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

トゥサイドのカービングターンのまとめ(内倒、後傾、ボードがたわまないなどの解決)

1.モチベーション

トゥサイドのカービングターンの問題は大まかに、内倒、後傾、ボードをたわませれない(エッジング立てただけになる)になるのではないかと思います。難しいのは、これらが単独で発生するのではなく複合して起こることです。

例えば、トゥサイドターンで次のような現象が起こっていたら要注意です

  • 中、急斜面でヒールサイドターンからの切り替えが怖い
  • 斜面が荒れていると安定しない怖い・捻挫する
  • 中~急斜面のカービングでスピードコントロールできない
  • 深い弧のターンができない
  • ショートターンでリズムがとれないor暴走する
  • ツリーランでヒールサイドターンに頼ってしまう

今回は、このような問題発生のメカニズムを考えつつ、解決策を考えていこうと思います。ちなみに、これらは僕が苦しんできたものです。

2.トゥサイドカービングターンに必要なこと

最初に知るべきことは、身体の使い方ではなくボードがどう動くべきかです。ハウツー動画・雑誌等はたくさんありますが、それぞれの経験や感覚から身体の使い方を解説するだけで、その動きがなぜ必要かについて十分に説明しているものは殆どありません。 下の記事で詳細を記載していますので是非ご覧ください。ポイントは次の2点です。

  • 斜面横方向への推進力がなければターンできない
  • 推進力を遠心力に変換しつつターンさせるためのカーブレールが必要(たわみ)

fq12345.hatenablog.com

 

3 問題の解説と解決方法

3-1 内倒(身体を倒さず、カカトをあげてエッジをたてる)

内倒は、頭(腰より上)がボードの傾き以上にターン内側に倒れこんでしまって、エッジに圧がかけれず不安定になる状態です。これがなぜ発生するのか。問題の始まりは、「(自在にターンできずに不安がある中で)なんとか早く曲がりたい」という気持ちです。そのような人のターンの方法のイメージは、おそらく、ボードを傾けることであろうと思います。これは必要なことなのですが、どうしても曲がりたい気持ちが強くなると、フォールライン方向に意識が強くなりすぎます。そのため、フォールライン方向に自分が倒れることでボードを倒そうとします。しかし、フォールライン方向に倒れようとしても、身体は恐怖を感じます。そのため、腹から下は無意識に倒れないように働き、意識のある頭から倒れこんでしまうのです。頭が倒れると少しはその下もついてくるのですが、ボードが倒れるまでのタイムラグが大きくそのタイムラグの間は、不安定でターンも起こらずコントロールが効かなくなっています。非常に怖いと思います。頭がエッジの上にないからなのですが、お辞儀で上体が90度折れたら立ってられないと思います。そのような状態になっていると思っていただければと思います。

 

トゥサイドターンは、フォールライン方向に倒れこむのではなく、斜面横方向への推進力をトゥサイドエッジでしっかりと受け止めるだけでスムーズに曲がります内倒は、斜面横方向への推進力を無視して、身体を倒すことでボードを曲げようとする動きとも言えます。内倒は不安定でアンコントローラブルな時間ができることから、恐怖が生まれます。恐怖は、早く曲がりたいという気持ちを助長します。早く曲がりたいと思うと、さらに内倒する。内倒が内倒を呼ぶ。この悪循環が厄介なところです。

 

これを抜け出すには、フォールライン方向ではなく、ボードが進むノーズ方向を見ながら(斜面横方向に進む力を邪魔しないように)、トゥサイドエッジをたてることが必要です。エッジをたてる動きも、恐怖を感じないで効率的にエッジをたてる動きにする必要があります。

 

エッジをたてる動きは、ボードに近い部位を使うことでボードにダイレクトに力をかけることができます。頭はボードから最も遠い部位です。そのため、タイムラグも大きくなり非効率なのです。ボードに近い部位でボードを立てる動きに使えるのは足首です。

 

「ブーツのタンをつぶすように足首を曲げて、つま先に荷重する」というハウツーを見ますが、これは内倒につながります。ブーツのタンがつぶれてエッジが立つまでに結構時間がかかるからです。なかなか、エッジが立たなければ、怖くなって頭が倒れるようになります。

 

足首でエッジを効率よく立てるには、(足首を伸ばしながら)カカトを上にあげるようにします。その時、自然につま先に重心が移動するのでそれに従います。自分で倒れる必要はありません。カカトをあげると、ビンディングでボードとつながっていますので、一瞬でエッジがたちます。自在にエッジをたてることができます。恐怖を感じる暇はありません。また、ただカカトを上にあげるだけの動きであれば、上体が折れたり、頭から倒れこんだりすることはありません。エッジもすぐにたつ、また、その動き自体に倒れこむ要素がないため、内倒が起きないのです。

 

3-2 後傾とボードをたわませれない(エッジをたてただけ)

うまく曲がれないと怖くなって後傾になるということがありますが、トゥサイドの多くの問題の後傾は別の理由です。トゥサイドは、足首や指先の関節を使えるため、エッジを立てただけでもバランスをとれます。つま先だちのようなイメージです。そのため、ボードをたわませることなく、カービングの状態になることができます。特に、後足に荷重すればするほど、エッジもズレにくくなり、加速感もでます。緩斜面だと気持ちがいいですよね。その気持ち良さが後傾を助長します。一方で、後足で荷重すればする程ボードのたわみを生み出せなくなります。

 

問題は、エッジを立てたときにカービングターンのようになっているので、たわみを生み出す踏み込み(沈み込み)の動作を忘れてしまうことです。

 

ショートターンでボードが回り込まないで暴走する、パウダーツリーランでトゥサイドターンが怖くてヒールサイドターンばかりになる、中急斜面でのロングターンでトゥサイドターンで暴走してしまう、というのはたわみを使えていないことで発生する現象です。

 

解決策は、ずばり沈み込んでみましょうです。しかし、意識しても沈み込めないことがあります。それは、その前の段階で下半身が伸びていないからです。縮み切った下半身でそれ以上沈み込むことはできません。沈み込むには、その前に伸びていないといけません。逆に、伸びるためにはその前に沈み込んでいなければなりません。また、内倒していると、お辞儀した状態で屈伸するようなもので、絶対沈み込めません。沈み込む前に伸びた状態は、頭がボードの垂直方向に位置していることが重要です。

 

沈み込みをスムーズにするための方法は、その前段階でうまく伸びあがることが必要です。先に、エッジをたてるにはカカトを上にあげるという話をしました。このカカトを上にあげる動きは、ヒザも伸びるんです(頭がボードから外れずに)。ブーツのタンをつぶすようにだとどうですか?ヒザが曲がってしまいませんか。そうすると、エッジがたった時にはヒザが曲がってしまっていて、もう、そこから沈み込めなくなるはずです。

 

まずは、エッジを立てる際に(エッジの切り替え時)に、カカトを上にあげる動きでエッジをたてる。その動きで自然に、足首、ヒザを伸ばす。そして、トゥエッジがたった時に、伸びたヒザと足首を曲げながらボードをたわませます。沈み込んでボードをたわませる動きは、飛ばないジャンプのような感じになります。カカトをあげて、ヒザと足首が伸びることで地面から離れていませんが、重心は上に上がっています。それをボードに落とし込む感じです。

 

これで、エッジの切り替えから、ボードをたわませるまでの一連の動きが無駄なく、スムーズに行えるはずです。一度ボードをたわませる感覚を掴んだら、ショートターンだろうが、ロングターンだろうが、沈み込みの強さや速さでターン弧をコントロールできます。ショートターンは、沈み込みに加えて少しひねりもつかいますが。。

 

自分の場合は、トゥサイドターンが嘘のように安定しました。特に、春先のザクザクな雪でのターンが気持ちよくなりました。柔らかい雪でエッジを立てただけでは、エッジが雪の中に潜ってしまうので、うまく曲がれません。柔らかい雪であればあるほど、たわませる動きをしっかり行わないといけないのです。これはパウダーも一緒です。

 

上記の動きの大前提は、「斜面横方向への推進力で曲がること」です。ここはもう一度強調しておきます。ここを間違えるとその後はすべてうまくいかなくなります。スタート地点をもう一度確認してください。