遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

ヒールターンの謎をやっと解明できた②

角付け:角付けの動作はわかりにくい

前回に続いてヒールターンの謎にせまっていきます。今回は角付けです。早速ですが、ヒールターンの角付けの時の姿勢はどのようなイメージですか?

 

下の写真のように①背中から倒れこんでいくイメージですか?②上半身はどこを向いていますか?③上半身と下半身は捻じれていますか?、自分はこの3つの質問の答えがだせず、結果として20年もヒールターンに霧がかかってしまっていました。

無限ループ

①については、緩斜面なら下の写真のようにボードと身体を平行にして背中から倒れこんでいけますが、急斜面になると恐怖です。そのため②については、できればノーズ方向に胸を向けたい。しかし、そうすると③について、上半身と下半身に捻じれが生じてしまって、テールがズルズルとなってしまう。捻じれが生まれないようにしようボードに平行にすると①のイメージになって急斜面等でボロボロになってしまう。このように、①、②、③の答えに矛盾が生まれて無限ループとなっていました。


角付けの姿勢

角付けの姿勢と手順が、ヒールターンの最もやっかいなところでした。上記の①、②、③は単純化していますが、いろいろと悩みました。試行錯誤として、ビンディングの角度を前振りにしたり、ボードと身体を平行でも急斜面で角付けできないのは怖がっているだけかもと気合で勝負してみたりと試行錯誤を繰り返してきましたが、結局どれもうまく行きませんでした。

 

アンギュレーション(外向傾)のことを、海外の解説ではセパレーション(分離)と表現しています。セパレーションは上半身と下半身の分離です。このセパレーションという見方が、①、②、③の間に矛盾のない角付けの姿勢を明らかにすることに役立ちました。

 

それでは、角付けの姿勢とその変化を下の写真で見てみましょう。左の写真は、前回説明した斜滑降の姿勢です。まだトゥエッジに乗っています。胸の向きは斜面横方向(手前)を向いています。肩のラインは水平です。これが角付けのスタートの姿勢です。胸が斜面横方向を向いていますので、先を見て安心してターンすることができます。背中から倒れる必要もありません。前回も説明しましたが、胸の向きはあくまで斜面横方向で、ノーズ方向ではないことに注意してください。斜面横方向であれば、ビンディングの角度+多少の胸のローテーションで下半身に対する捻じりは発生しにくいです。上半身と下半身がセパレートした状態になります。これで下半身は斜滑降を続けることができます。

 

ヒールターンの角付け(左から右へ)

次に、真ん中の写真です。斜滑降の姿勢から肩のラインを斜面に平行にしました。この時、特に前足のトゥエッジが緩まるようにイメージします。少し緩めると遠心力によってボードもヒール側にロールし始めます

 

最後に、右の写真です。ボードがロールし始めたら(肩のラインを斜面に平行にした時)、斜面横方向に向いた胸を、最初の45度の場所(下図参照)に後ろの手を伸ばしていくように、ほんの少しだけ回転させて上半身をお辞儀させていきます(わからなかったら、斜面横方向にお辞儀でも大丈夫です)。これは立位体前屈と同様に、背骨を曲げるのではなく、上半身を股関節から折り曲げるようにします。これで前足のエッジの角度が増加するはずです。上半身ではなく、足首やヒザ、股関節に注目できる人は、前足の足首を反時計回り(レギュラー)に回しながら、つま先を持ち上げることができれば上半身はバランスをとるために勝手に動くと思います。

重要な45度ポジション

次回は荷重について説明します

次回、荷重について説明しますが、角付けをした後どのようになるか概要を記載しておきます。角付けの動作はターンピークまでです。上記の動作で遠心力を使ってボードのエッジを踏んでいくことができます。その後、最後の45度(上図)までは上半身や下半身をローテーションさせないようにしましょう。ローテーションしなくても、上のお辞儀の動作で荷重されてボードがたわむので、自動的に最後の45度まで回転します。ローテションを行うとズレやすくなります。ヒールターンのお悩みで多い、ガガガも発生しやすくなります。ローテーションは、最後の45度を超えたところから行いましょう。詳細は、次回に説明します。

ターンピーク(左)(最後の45度を見ながら荷重)と最後の45度(右)(最後の45度への荷重をしながら視線だけ次のターンへ)の姿勢