遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

スノーボードのビデオでイメトレしたり、解説を読んだりする時の落とし穴

落とし穴は、スタンス角

スノーボードには、スキーにはない、自由に決定できるビンディングの角度(スタンス角)があります。最近、偶然にもサーフィン友達で、スノーボードカービングがキレっキレの方に、リフトで一緒になり、半日一緒に滑りました。

 

以前よりもさらにキレるカービングでした。リフトで、よく見るとスタンス角がものすごく前向きになっていました。聞くと、前30度、後15度ということでした。もともと、そんなに前に振っていなかった方なので、驚いて理由を聞いてみました。

 

曰く「結局、ビンディングの角度を前にふらないと、できない動きがあるんだよねー」とのこと。僕は、その時ハッとしました。ビンディングの角度によって、ボード上でできるアクションが変わということは、ビデオでイメトレしたり、解説を読んだりする時に、極端に違うスタンス角度の人が言っていること、やっていることを真似すると逆効果になることもあるんじゃないかということです。

 

今まで、本を読んだり、ビデオをみたり、インストラクターに教えてもらったりする中で、スタンス角による動作の違いを明確に説明したものはありませんでした。

 

ボードがターンするための原理は、どんなボードでも大きく変わりない

もちろん、スノーボードも多様なので、それぞれの特徴はあると思います。しかし、ターン時のボードと雪面の物理的な関係には大きな違いはないはずです。

下記の図のように、フロントサイド、ヒールサイドの2つの力点に力を加えることによって、再度カーブが雪面につき、ターンが始まります。単に、再度カーブを雪面につけただけであれば、サイドカーブと同じ回転半径になります。しかし、この2つの力点に、さらに強い力をかけること、ボードを雪面に対して立てることで、ボードのたわみによって、サイドカーブの半径を小さくすることができ、小さな半径で曲がることができるようになります。また、2つの力点のうち前の力点に力の配分を大きくすると、ズレを生み出すことができ、ストップしたり、減速とキレを組み合わせたショートターンを行うことができるようになります。

ターンの原理は単純化すると上記のようになり、これはどんなボードであっても大きく変わることはありません。問題は、どうやって、力点に必要なタイミングに、必要な力をかけるかという私たちの動作です。スタンス角によって難しい動作があるならば、必要な力をボードにかけるための動作も、スタンス角に基づいて考える必要があるはずです。

 

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スノーボードの力点とサイドカー

スタンス角が同じくらいのビデオや解説を読まないと誤解が生まれる可能性がある

デモンストレーターカービングマニアの方は、冒頭の方のように前向きのスタンスになっていることが多いです。このことによって、ライディングイメージに大きく差がでるのは、まずは上体の向きです。例えば、前9度、後-9度の方が、前30度、後15度の方と同じイメージでターンをスタートすると、強い捻じりが発生するため、ターンのスタートからボードのスライドが始まり、その後は何をしてもカービングにはなりません。特に、バックサイドターンは要注意です。トゥサイドターンは、エッジを速く強くいれるために、バックサイドからトゥサイドへの切り替えの際に、少し逆ひねりのような動きをする方が多いですが、前足9度の方が、30度の方と同じくらいひねると、ひねりひねりすぎて、その後エッジにプレッシャーがかけにくくなります。

また、必要な力をボードにかけるための、足首やヒザの使い方も違います。後ろ足が前向きな方(例:後15度)は、ヒザを前方向にひねり倒すことで、後ろ足の踵の内側で力点に力を加えることができますが、後ろ―9度の方がそれを行っても、後ろ足の踵の内側にはどうしても力がかかりません。逆に、つま先側への力が増加して、ボードがスライドしやすくなる可能性が高くなると思います。

 

見本を参考にするときは、まずスタンス角が自分とどれくらい違うかを確認しましょう

僕は、前15度後-3度です。前向きにすると、うまく滑れなった時の苦い思い出(捻挫が多かった)から、トゥサイドで身体が遅れやすくなるので、前向きにしないようにしています。後ろも同じです。捻挫が怖くて(笑)。なかなか、このスタンスでカービングのビデオがなくて困っていますが、イメトレする際も、勝手にスライドが始まるようなひねりが生まれない基本姿勢を強く意識するようにして、カービングのビデオは上体の向きや足のひねりを、かなり差し引いて応用するようにしています。

スノーボードは、悪循環と好循環に分かれやすいスポーツと思います。ひとつの間違いが、次の間違いを生みます。逆に、スタートが間違っていなければ、着実にうまくなれるものです。

多くのメディアでイメトレや解説等情報が得られる便利な世の中ですが、まずは自分とのスタンスの違いをしっかり確認して、間違いをつくらないようない情報の収集が重要と思います。