遠回りしたら見えるものがある

スノーボードやスキー、サーフィンをマニアックに分析したい

(毎年のことですが)春になるとスノーボードが難しくなる

ここまでを振り返って

小学校の校長先生が、1月「いった」、2月「にげた」、3月「さった」というようにアッという間に時間が過ぎるので三学期は集中して過ごすようにと言っていたのを毎年思い出します。今年もあっという間に3月になってしまいました。最後の投稿を確認すると昨年9月のサーフィン。どうやら半年ほど音沙汰がない状態になっていました。

 

さて、今シーズンのスノーボードとスキーは12月半ばくらいにはスタートし、滑らなかった日は、殆どなくここまでやってきました。ご存知の通り今年は大雪。パウダーもかなり滑ったんだろう?と言われそうですが、実は今年は子どもにスキーやスノーボードを楽しんでもらいたいと一緒に滑っていました。ニセコにも何度か連れていきましたが、もちろん子どもが滑れるところしか滑っていないので、楽しそうにパウダーを滑っていくスキー、スノーボーダーが描くトラックを指をくわえてみることしかできませんでした。しかし、子どもたちが、パウダーが少しだけ残る森の中に、ボーゲンで突っ込んで小さな冒険を楽しんでいるのを見ると、これもまた良し!という気分になっていました。

技術的おさらい

さて、毎年のことですが、春になり特にスノーボードが難しくなってきました。春雪は自分にとって期末試験のようなもの。ハイシーズンにどれくらい上達できたかが確認できます。以降、自分の目指している滑りの姿と、今年の発見を整理しておきます。詳細は後日記載していきます。

めざした姿

今年は、カービングターンにこだわらず、キレのあるスライドターンも考えました。スタンスは途中から前21度、後-6度のダックスタンスに変更しました。日本で流行っているスタンス前振りのゴリゴリターンではなく、理想は、カナダのインストラクターのような「どこでも滑れる力強い安定した滑り」としました(下の動画参照)。今年は嬉しいことに、スキー場で知り合った方々から、嬉しいお褒めのお言葉を頂き、少しこれに近づいているのかもと思っています。

 


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今年の発見

1.45度の地点での荷重を意識してターンする

北京オリンピックのデュアルスラロームを見ていて、「45度」というキーワードが生まれてきました。彼らのライディングを見ていると、ターンは旗を通過する際にすでに終わっていました。彼らは、谷回りの45度の地点(時計で言えば1時半か10時半)でターンをしていました。これは是非映像で確認して頂ければと思います。考えてみると、この45度の地点は非常に都合が良いと思います。これより前は、遠心力を得難く、ボードに荷重していくことが難しい。90度地点以降は、遠心力に重力が加わるので、特に急斜面ではターンを描くために制御するのは困難です。45~90度の地点は前進する力を遠心力に変換しつつ、ターン弧を決定することができる場所であると思います。45度地点はそのスタート地点であり、90度までにターンを制御するにはここが荷重をスタートする地点として都合が良い場所と言えると思います。これは、感覚的なところなのですが、45度の地点に、「三角コーナーがありそのコーナーにボードを押し付けていく」ように荷重するイメージを持つと簡単にボードをたわますことができ、急斜面でも安定してスピードコントロールをすることができます。特に、ヒールサイドでガガガとなる人には、その解決策となります。是非、下の動画を見てみてください。赤コースのEster Ledecka選手のコース取りに注目するとわかりやすいです。

 


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2.荷重は、一旦ヒザの力を抜く

荷重という言葉は、ボードに体重に基づく力をのせていくというイメージと思いますJSBAのベーシックターンは、立ち上がって抜重、沈み込んで荷重すると言われます。この動作は結果的に連続ターンを生み出すのですが、よくよく考えてみると感覚とは反する感じがします。

 

特に、沈み込んでボードに力を加えることができるのでしょうか。通常、立ち上がるためにヒザを伸ばして上向きに移動しようとする際に、その反作用で下向きの力が生まれます。逆に、ヒザを曲げてしゃがんでいけば下向きの力は生まれません。しかし、ここで慣性を考えると、立ち上がって抜重、沈み込んで荷重ができます

 

立ち上がって抜重は、思い切ってジャンプすると離陸の瞬間は下向きに強い力が発生しますが、一度空中に浮いてしまえば(上向きの加速度が0になった後)、下向きの力はなくなります。上向きの加速度によるので必ずしも空中に浮く必要はありません。

 

沈み込んで荷重は、ジャンプした後の着地をイメージするとわかりやすいと思います。着地の瞬間は下向きの加速度が生まれています。着地の瞬間に足を伸ばして突っ張れば、強い衝撃(上向きの力と下向きの力)が生まれます。逆にヒザの曲げを下向きの速度よりも速く行って、少しずつヒザに力をいれて速度を遅くしていけば、衝撃を吸収することができます(下向きの力を最小限にできる)。荷重はこの中間の動きと考えました。

 

つまり、着地の瞬間(エッジが切り替わり遠心力が発生する瞬間)には一度、ヒザに力をいれて衝撃(下向きの力)を生み出す。これにより、エッジが雪面にグリップする。これによってRが決まるので遠心力が継続します。そこでエッジがグリップした瞬間、ヒザの力を抜いて、遠心力に身体を任せて下向きの加速度を増幅させる。ここで増幅した加速度を今度は、ヒザを曲げつつも力をいれていき(次第に強く、ヒザの曲げを速くしすぎて力を吸収しないように)、ターン外側への力を強くしていきます。これによって、次第に強くなる滑らかな荷重ができると考えています。

 

自分もそうでしたが、一気にエッジをいれて力を加えたいと考えるのですが、雪質がその力をうまく吸収して反発してくれるようなハイシーズンの良い雪質(勘違いバーン)の時は良いのですが、アイスバーンだったり、ガタガタ、グサグサの時は、ガガガとなったり、抜けたりしていました。つまり、強い反発力で負ける(アイスバーン、ガタガタ)、力が強すぎて抜ける(グサグサ)という感じです。何事も徐々に力をいれてバランスをとっていくのが重要ということと思います。

 

3.切り替えの前に荷重をして、ボードが切れ上がった後にエッジを切り替える

バイク乗りの方からヒントをもらったのですが、逆ハンドル(曲がりたい方向と反対方向にハンドルを曲げる)をすることで、バイクをクイックに倒しこむことができるそうです。北国で車を運転する者としては、コーナーで滑り始めた車を止める時に自然と使ってしまうテクニックでしたが、確かに、白バイ隊員の訓練なんかを見ていると、8の字ターンをクイックに行う時に使っているのを目にします。

 

角付けからボードを倒しこむのにこれを使えないかと思いました。前述の荷重でも少し述べましたが、立ち上がり抜重を行う前に必ず、前のターンのエッジに荷重が行われます。荷重が行われれば必ずボードがたわみ、回転半径が小さくなるため、大なり小なりターンが切れ上がることになります。この動作に前足のローテーションを少し加えて、ボードの切れ上がりを少し大きくした後、次のターンのエッジ(ノーズの一番太い場所)をかけていくと、谷側に自分が倒れこむ量を最低限にしてエッジを切り替えることができます。慣れてくるとノーズの一番太い場所を使ってワザと逆エッジで谷に倒れていくような感じで結構気持ちがいいです。上半身の動きも含めて、今後詳述したいと思います。逆エッジになっていくときに進行方向に近い角度で行うか、大きく谷側に動くかでカービングターンかスライドターンか、そのミックスかコントロールできます。このテクニックは、トーションを使う動きとも言えます。たとえば、グサグサの春雪で安定したターンを行う際にはとても役立つ動きです。

 


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上半身の動きや角付けの際の動きについてもかなり詳細になってきたので、今後記載していきたいと思います。